膀胱癌
膀胱癌について
腎臓で作られた尿は尿管を通って流れて、下腹部にある袋状の臓器である膀胱に一時的にたまった後に尿道を通して排泄されます。膀胱は内面の粘膜とその周りにある筋肉で構成されており、尿をためる際には数百mLにまで膨らみますが、筋肉が収縮することで排尿することができます。膀胱癌は通常粘膜から発生しますが、ごくまれに筋肉などから発生することもあります。
診断
目で見てわかる血尿(肉眼的血尿)や健診での尿潜血陽性(顕微鏡的血尿)が契機で見つかることが多い疾患です。このような契機で受診されて膀胱癌が疑わしい場合には、下記検査で診断を進めていきます。
▸膀胱鏡
膀胱の中を直接カメラで除くことで診断します。
▸尿細胞診
尿中のがん細胞の有無を調べます。癌があっても必ずしも陽性にはなりません。
▸CT、MRI
膀胱の癌が確定的である場合に進行度を診断するために行います。
膀胱鏡
膀胱の中を直接カメラで除くことで診断します。
尿細胞診
尿中のがん細胞の有無を調べます。癌があっても必ずしも陽性にはなりません。
CT、MRI
膀胱の癌が確定的である場合に進行度を診断するために行います。
治療
経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBt)
尿道からカメラを挿入して腫瘍を見ながらループ状の電気メスで切除する方法です。早期の膀胱癌であればこの治療のみで根治することもできます。ある程度進行している膀胱癌の場合は治療としてではなく組織(癌のタイプなど)を確認するための検査を目的として行います。近年では、アミノレブリン酸による光線力学診断を用いた経尿道的膀胱腫瘍切除術を施行することで、より治療効果を高める工夫をしています。
(内視鏡手術 – 金沢大学附属病院泌尿器科 (kanazawa-univ-urology.jp))
BCG(もしくは抗がん剤)膀胱内注入療法
筋層まで浸潤していない膀胱癌の再発予防や多発癌の治療目的に膀胱内にBCGや抗がん剤を注入することで一定の効果が得られます。週1回の注入を8回前後行いますが、頻尿、血尿、排尿時痛などの副作用が強くでるようであれば投与量、投与スケジュールの変更を考えます。
膀胱全摘除術
筋層まで浸潤しているが遠隔転移は認めない場合に、根治目的に膀胱を全て摘出する手術です。膀胱を全て摘出すると腎臓、尿管から流れてくる尿を体の外に出すことができなくなるので、その通り道を新たに作る必要があります。これを尿路変更術と言います。尿管皮膚婁、回腸導管、回腸新膀胱が主な尿路変更の方法になります。回腸導管を用いることが多いですが、状況に応じて他の方法を選択することもあります。以前は開腹もしくは腹腔鏡下での手術を行っていましたが、現在はロボット支援下に手術を行っており、出血量の減少や在院日数の短縮が図れています。
(ロボット支援手術(前立腺癌、腎癌、膀胱癌) – 金沢大学附属病院泌尿器科 (kanazawa-univ-urology.jp))
抗癌化学療法
遠隔転移を認める場合や膀胱全摘除術の前後に、より根治性を高めるために行う場合があります。基本的に数か月の治療期間を要し、導入当初は入院が必要となりますが、使う薬剤の種類によっては外来化学療法室に通院で行えるものもあります。
免疫チェックポイント剤
根治目的の膀胱全摘除術の後に再発予防目的に1年を目途に投与する場合や、遠隔転移を認め抗癌化学療法が無効となった場合に行う場合があります。導入当初には副作用の出現など確認するために何度か入院を要することがありますが、その後は基本的に外来化学療法室に通院で行います。