副腎腫瘍
副腎腫瘍について
副腎は左右の腎臓の頭側に1つずつある約2~3cm大の三角形の臓器です。皮質と髄質という2つの部分に分けられ、人間が生きていくうえで必要なホルモンを産生します。
副腎に発生する腫瘍を副腎腫瘍と呼び、ホルモンを過剰に産生・分泌するものを機能性、そうでないものを非機能性と呼びます。また、良性・悪性にも分別され、悪性のものは副腎がんと呼ばれています。
機能性の副腎腫瘍は産生するホルモンによって主に原発性アルドステロン症候群、クッシング症候群、褐色細胞腫と呼ばれます。これらの腫瘍は高血圧や糖尿病の原因になります。
診断
尿検査・血液検査
尿中・血中のホルモン濃度を過剰に産生されていないか測定します。
CT・MRI
副腎腫瘍の位置や大きさなどを測定します。
負荷試験・抑制試験
利尿薬やデキサメタゾンを投与し、それに対するホルモンの反応を評価します。
副腎静脈サンプリング
左右に存在する副腎静脈より血液を採取し、どちらの副腎からホルモンが産生されているか調べます。
シンチグラフィ検査
放射性同位元素で標識された薬剤を投与し、その分布を評価します。これらの薬剤は特定のホルモン産生腫瘍に集積するため、大きさや位置は確認できます。
治療
手術療法
良性の機能性副腎腫瘍と限局性の副腎がんに対しては手術療法が第一選択となります。
また、非機能性の良性副腎腫瘍は経過観察することが多いですが、4cmを超えるものや破裂の危険性があるものなどは手術療法の適応となります。
手術療法は主に開腹手術・腹腔鏡手術がありますが、多くの場合は腹腔鏡手術が選択されます。しかし、2022年にロボット支援副腎摘除術が認可され、今後はこの術式が主流となると思われます。
薬物療法
機能性副腎腫瘍によって過剰に産生されたホルモンに対する対症療法は存在しますが、根本的な解決にはならず可能な限り手術が行われます。進行した副腎がんに対して抗がん剤やミトタンという副腎を抑制する薬剤が使用されることがあります。