中川竜之介大学院生の論文がPhotodiagnosis and Photodynamic Therapyに掲載されました.
研究
2024.02.28
我々は以前に、PDD-TURBTを行う際に使用する内視鏡機器によって診断の感度・特異度が異なることを報告しました(Photodyn Ther. 2022 Mar;37:102628).
今回は手術成績や術後の予後について調査を行いました.PDD-TURBTの際に使用した内視鏡機器(A or S)で群分けを行なったところ、S群で有意にCISの検出率が高いことがわかりました(p < 0.01).また無再発生存期間 (HR 0.63, p = 0.15)及び術後の再発頻度(4.92 vs. 3.66 per 10,000 person-days, p = 0.08)については有意差はなかったものの、共にS群で良好な傾向にあることがわかりました.
手術手技は両群で同じであるにも関わらず上記のような結果になったのは、赤色発光の見え方が内視鏡によって異なり、これに伴う腫瘍切除のクオリティの差が一因となっていると考察します.また今回の研究ではS群で良好な手術視野を得ることができ、その結果CISの検出率が向上され、適切なBCG治療を受けることができたのも予後に少なからず影響を与えている可能性が示唆されます.
今回の研究から、PDD-TURBTを行う際、質の高い治療を患者さんへ届けるには使用する内視鏡機器も重要な要素の1つであることがわかりました.