中川竜之介大学院生の論文がInternational Journal of Urologyに掲載されました!
研究
2024.02.16
本研究は筋層浸潤性膀胱癌に対して膀胱全摘術を受けた患者(RC群)と膀胱温存療法を受けた患者(CT群)の予後及び合併症についてretrospectiveに検討を行ったものです.
RC群はCT群と比較して有意にPFS及びOSを延長させましたが、CT群の中でも耐術能が問題ないにも関わらず、手術を拒否し膀胱温存療法を受けた患者の予後は、RC群と比較して有意な差を認めませんでした.一方で、CT群の方が治療後の合併症は多く、病勢増悪までの再入院率や入院期間についてもCT群で有意に延長していました.
筋層浸潤性膀胱癌に対しては現在のガイドラインでは膀胱全摘術が標準治療ですが、手術を拒否し膀胱温存療法を受けた患者の予後と有意差がなかったことは注目すべき点と考えます.
この知見は、筋層浸潤性膀胱癌に対して必ずしも全例に膀胱全摘術を行う必要がない可能性を示唆しています.しかし合併症を考慮する必要がある点、どのような患者に膀胱温存療法が適しているか未だ不明である点などが問題となります。今後さらに症例を蓄積、詳細な検討が必要と考えますが、そのきっかけとなる研究となりました.