中川竜之介医員がESMO/JSCO Fellowship Program 2025に参加してきました。
研究
2025.11.18
この度、ESMO/JSCO Fellowship Program に参加し、ESMO Congress 2025(Berlin)での学会参加および
Gustave Roussy(Paris)での施設見学を行いました。以下に研修内容を簡潔に報告いたします。
1. ESMO Congress 2025
世界最大規模の腫瘍学会であり、各領域の最新の臨床試験結果を直接聴講する貴重な機会となりました。
泌尿器腫瘍に限らず腫瘍内科全般の動向を把握することができ、とりわけ中国を中心とした創薬・治験開発の急速な進展を強く実感いたしました。
Presidential Symposium では、今後の標準治療に影響を与える可能性のある試験が多数発表され、
国際的な研究競争のスピードを肌で感じることができました。
2. Gustave Roussy 施設見学
学会終了後、パリに移動し、Prof. Yohann Loriot の外来・治験外来・研究室を見学いたしました。
外来
・患者1人あたりの診察時間が長く、多くの患者が臨床試験に参加している点が印象的でした。
・治療方針自体は日本と大きな差はないものの、薬剤の承認状況には国による違いがあることを実感いたしました。
治験外来(CCA)
・主治医より治験の適格性判断を依頼され、基準への適合性を確認する専門外来であることを学びました。
・癌腫を問わず多数の診療科から依頼が集まり、治験運用の効率性が非常に高い印象を受けました。
研究室(Labo)
・多数の検体を用いた PDX モデルの樹立・ライブラリ化が進んでおり、担当者ごとの明確な分業体制が特徴的でした。
・設備自体は特別なものではありませんが、潤沢な人的リソースと資金が研究のスピードを支えていることを理解いたしました。
3. 全体を通しての学び
Gustave Roussy では「薬物治療・手術・研究」の役割分担を徹底することで、診療・研究の効率化を実現している点が特徴的でした。
一方で、日本の医療施設が持つ総合的な診療体制の強みについても改めて認識する機会となりました。
今回の研修を通じて、国際的な視点から泌尿器腫瘍領域の臨床・研究の現状を俯瞰することができ、
今後の診療および研究活動に活かすべき具体的な示唆を得ることができました。
今回、このような貴重な機会をいただき、関係者の皆様に心より感謝申し上げます。
また、研修期間中の業務をご配慮くださった所属教室の先生方・スタッフの皆様、
そして研修受け入れに尽力してくださった Prof. Loriot をはじめとする
Gustave Roussy の皆様に深く御礼申し上げます。
本プログラムで得られた経験を、今後の診療・研究に還元してまいります。

