研修医・学生の皆さんへ
皆さんへのメッセージ
「若人よ、泌尿器科に来たれ(きまっし)!」
昔々、何処かのお偉い先人方が “Urology” を事も有ろうか “泌尿器” と訳してしまったことに端を発します。その名前の怪しさからか、世間的にはあまり良いイメージは抱かれず、時には性病科と混同されたり、秘尿器科と揶揄されたりと、散々な歴史がありました。もちろん医者が登場するようなテレビドラマでも、泌尿器科医が主人公となることはまず皆無でありまして、それは映像的にもNGということなのでしょうか。
しかし海外に目を向けますと、 “Urology” は「泌尿器外科」として外科の一分野に属し、尿路性器悪性腫瘍に対する外科的治療が根幹を成しております。なかでも泌尿器の主要疾患である『前立腺癌』は、男性の悪性腫瘍中で最も頻度の高いガンで、臨床のみならず基礎研究の分野でも高い注目を浴び続けているガンです。このような背景から欧米におきましては、泌尿器科は外科領域の中核と位置づけられ、最も人気のある科の一つと言っても決して過言ではございません。
さて、学生の皆さん、そして初期臨床研修医の皆さんは、これまでの泌尿器科臨床実習の経験や研修医生活における何らかの関わりから、泌尿器科がどのような科かはおおよそ理解されており、”泌尿器”という微妙な響きだけで当科を敬遠するようなことはないと信じますが、ここで改めて本邦における泌尿器科の説明をさせていただきます。
泌尿器科は内科的かつ外科的という両面を有し、診断から治療、そしてその後最期までの全てを診ることができる科です。外科的治療に関しましては、局所麻酔の小手術、内視鏡手術や腹腔鏡手術などの手術から、膀胱全摘術+尿路変向術などの大手術、ロボット手術などの最先端手術までとかなりバラエティーに富んでおります。また、ガンの薬物治療、前立腺肥大症や過活動膀胱などの下部尿路症状、尿路結石症、女性泌尿器、男性不妊症、男性更年期、ED…などなど、さらには透析や腎移植などの腎不全領域も加わりまして、後腹膜から骨盤にかけてのほとんどの疾患を網羅します。また、泌尿器科患者には男女を問わず高齢者が多く現在の高齢化社会におきましては、なおさら泌尿器科医の存在価値が高まり、その活躍の場も引く手あまたの状況にございます。
そこで、初期臨床研修の際には、外科系に興味がある方はもちろん、外科系に興味が無い方も、一生に一度の外科系の選択だと思って、数ヵ月外科系診療科を選択して下さい。そして、そのうちの数名でも泌尿器科を選んでいただけたら幸甚の極みです。学生時代に持っていたイメージやベッドサイド研修と、医師として働くことでは大きく違うことに気づかれることでしょう。断言しておきますが、泌尿器科には夢と希望と明るい未来がございます。泌尿器科が有するダイナミックなインパクトと他の追随を許さないマニアックなスペシャリティが皆さんの好奇心を大いにくすぐり、必ずや君たちの琴線に触れるものと確信しております…
泌尿器科の魅力
多彩な診察内容
泌尿器科は基本的に尿路・生殖器を扱う科ですがその専門領域は、癌、排尿機能、腎移植、性機能・生殖機能、尿路結石、小児泌尿器、女性泌尿器など多岐にわたります。各領域の診療内容は大きく異なり、また、外科系科でありながら、内科的な管理も必要とされるため多彩な診療を行う科と言えます。
高い必要性
前立腺癌の罹患数は年々増えており、2019年のがん罹患数(男性)は胃癌、大腸癌を抜いて一位になりました。また、癌のみならず高齢者に多い疾患を扱う泌尿器科は超高齢化社会を迎える日本においてまさに必要とされますが、泌尿器科医師数はまだ十分とは言えません。
先進的な手術
近年の手術領域における最大の技術革新はロボット補助下手術ですが、このロボット手術が最も行われているのが泌尿器科です。前立腺癌に対して特に有用であり、その罹患数も増えていることから、全国的に導入する施設が増えています。石川県内でも金沢大学附属病院をはじめとして現在4施設に導入されています。
当科の魅力
高い研究レベル
アンドロロジー(男性学)グループ、腫瘍グループ、感染症グループに分かれて基礎研究、臨床研究を行っています。いずれのグループも各領域で日本トップレベル、また世界に発信できる研究を行っていると自負しています。
充実の関連病院
石川県、富山県、福井県の症例数の多い主要病院をはじめとして約40の関連病院があります。泌尿器科医師として経験を積むための派遣先として、また将来の就職先としても充実しており安心です。
積極的な留学
国内、国外を問わず様々な大学や病院への留学が可能です。海外留学で世界レベルの研究を学ぶことはもちろん、臨床における専門的技術・知識を学ぶために国内有数の施設への留学も積極的に推奨しています。
現在留学中
Cincinnati children’s hospital medical center
楽しめる環境
泌尿器科は外科系でありながら比較的温厚な先生が多く、実習で当科をまわってくる学生も雰囲気が良いとよく言ってくれます。仕事は真剣に、しかし楽しみながらをモットーに取り組んでいます。また、病棟スタッフも交えてバーベキュー、ビアガーデン、海、スキーと楽しいイベントもたくさんです。